耐震診断って何? 建物はどのくらいの地震に耐えられるの?

耐震診断とは、

専門的に説明すると難しい話になりますので、出来るだけ簡単にご説明します。

建物が地震に対してどれ位の強度を持っているのかを、現行の建築基準法の構造規定で定める、最低限の耐震強度(評点1.0)と比べて算出することを言います。

評点1.0の建物は、『数百年に一度発生する地震の地震力に対して、倒壊・崩壊しない』性能評価の建物となります。
『数百年に一度発生する地震』とは『震度六強~震度七程度』を想定している様です。

昭和五六年の建築基準法の改定により、それまでは考慮されなかった
『壁の強さの配置のバランス』が考慮されるようになりました。

実際、阪神・淡路大震災の際には、昭和五六年より前に建設された建物に
大きな被害の発生が確認されています。

耐震補強と言うとまず思い浮かぶのは筋交いでしょう。

建物にかかる垂直方向の力(屋根、床、家具、人間等)等を支えるのが柱であり、水平方向にかかる力(地震、風圧等)等を支えるのが筋交いです。

昔から大工さんに伝わっている言葉に『一寸千貫』という言葉があります。

現在の建築基準法の考え方とは異なりますが、

一寸角(約3㎝×3㎝)の断面の木材の柱は、
垂直に建っていれば千貫(3,750kg)の垂直荷重に耐えるということす。

昔、太った人に『百貫デブ』と言いましたが、百貫は375kgを意味します。

一般に細いとされている三寸角(約九㎝角)の柱であれば、九倍の
33,750kg(33.75トン)の垂直荷重に耐えるというのです。

このように垂直荷重には細い柱でも耐えてくれるのですが、地震や風圧等の力による、曲げに対する力に関しては、柱をどんどん太くしていかなければ耐えてくれません。

柱を太くすると通路等の幅も狭くなりますし、コストも掛かってしまいます。

そこで、細い柱のままでも水平の加重に耐えられるように筋交いを入れるのです。

この『筋交い等の配置(強い壁)のバランス』を考慮することによって、剛心(壁の強さの中心)を重心(建物全体の重さの中心)の位置に近つけます。
そうする事により、地震の揺れの影響を少なくできるのです。

『地震の揺れによる建物に影響する力』を減らすことができるのです。

ホームインスペクションには、通常、耐震診断は含まれません。

しかし、特に昭和56年より前に建てられた建物に関しては、耐震診断をすることにより、壁の強さのバランスを知っておくことは重要です。

昭和五六年の法改定前の建物は、筋交いや、柱、梁等の接合部に金物を使っていない場合が多いので、たとえ壁の中に筋交いが入っていたとしても、
『筋交いは無い』と判断したほうが良いでしょう。

なぜかというと、地震の揺れというのはその地震のマグニチュードが大きくなるほど『強く揺れる時間』は長くなります。

金物で固定されていない筋交いは、その揺れに接合部が耐えられず
筋交いが外れてしまうのです。

いったん筋交いが外れるとそこに力が集中してしまい、柱の座屈を招いてしまう可能性が大きくなります。

肝心な時に外れることが予想されるものを計算に入れることはお勧めしません。

せっかくリフォームするのであれば、『地震が来るたびに怯える事のない家』にしたいですよね。

しかし、『耐震補強をしたからと言ってどんな地震にも耐えられるか』というと、必ずしもそうではありません。

最初に触れた評点ですが、評点1.0:一応倒壊しないが判定の基準になります。

他の数値はどうなのかというと、

評点1.5以上     :倒壊しない
評点1.0を超え1.5未満:一応倒壊しなし
評点1.0       :一応倒壊しない
評点1.0未満で0.7以上:倒壊する可能性がある
評点0.7未満     :倒壊する可能性が高い
となっています。

昭和五六年より前の建物の95%以上が評点0.7未満(倒壊する可能性が高い)になるといわれており、それらの建物を耐震補強する場合の一つの目安として、

評点0.7を超える。という設定があります。

実際、都道府県などで行われている耐震補強に対する補助金(その半分は国から出されている)の条件には、

昭和56年の法改定より前の建物で、評点が0.7に満たない建物に対して、
耐震補強を行うことによって評点0.7を超えるという条件が有ります。

単純に補強する個所を増やせば評点が上がるかというと、そうでもありません。
『建物が重いか軽いか』や、『どの位劣化しているか』によっても評点が変わってきます。

具体的に言うと、古い建物(古民家)で、瓦葺の瓦の下に土を入れている場合がありますが、これは『非常に重い建物』になります。
金属製の屋根などは『軽い建物』になります。

頭が軽い方が、地震に対して有利なのです。

例えば『屋根の瓦を金属製の屋根にやりかえるだけで評点が0.7を超える』ことも有りますし、建物によっては、『全ての壁に耐震補強を行っても評点が0.7を超えない』場合もあるのです。

『どこまで評点を上げるか』はあなたの考え次第ですし、場合によっては実現できない可能性もあります。

評点1.0の性能評価の建物は震度六強~震度七程度の地震に対して倒壊・崩壊しないと説明しましたが、その耐震性能には限りが有ります。

防災科学技術研究所という所で、地震の揺れを再現して、建物にどのような影響が出るかの実験を行っています。

『耐震補強をした建物』と、『耐震補強をしていない建物』を実験設備(Eディフェンス)の上に並べて設置し、地震の再現実験を行いました。

『耐震補強をしていない建物』は最初の地震で倒壊しますが、
『耐震補強をした建物』は、倒壊はしませんでした。
しかし、だいぶ被害は出ているようで、
『何回か地震の揺れを再現する』と倒壊しました。

この実験でわかることは、

耐震補強された建物は『シェルター』ではない。

耐震補強は『地震による建物の倒壊を防ぎ、避難する時間をかせぐ事』と考えるべきで、
決して、耐震補強を『過信』してはいけません。

評点が高いからといって、震度六強の地震で絶対倒壊しないとは言いきれませんし、
評点0.7以下の建物であっても、震度六強の地震に襲われた地域で被害が少ない場合もあるのです。

耐震補強をする際には、『評点をどこまで上げるか』を決めなければなりません。

あくまで新築以上とお考えであれば、建て替えという選択にならざるを得ない場合もあります。

このような判断を下すにも、耐震診断は無くてはならない事なのです。

それでは、どこでホームインスペクションや耐震診断をやってもらえばよいのでしょうか?
いくらくらいかかるのでしょうか?

ホームインスペクションに関しては、床下調査や屋根裏(小屋裏)の調査がない場合で5~7万円程度ですが、この程度の調査では意味がありません。

ちゃんと床下調査と屋根裏(小屋裏)を依頼した場合は
九万円~十四万円程度かかるようです。

耐震診断に関しては、一般財団法人等に頼んだ場合、
概ね20万円~40万円かかるといわれています。

お金は掛かりますが、かけた分に見合った成果はきっと得られるはずです。

シェア

関連ブログ

TOPへ