信じられない内容の『工事請負契約書』と、認識の甘い工務店

先日、「契約は済んでいるが、工事に対してどの様な事に注意すれば良いのか」というご相談を頂き、「初回無料」のコンサルティングに行ってまいりました。

大手2社と工務店1社とで相見積もりを取り、地熱利用か得意?の地元に近い工務店と契約されていて、すでに増築予定部分の別棟の解体工事が始まって(ほぼ完了)いました。

計画内容に関しては何カ所か(根本的な計画も含め)指摘したい個所は有りましたが、すでに確認申請(10㎡以上の増築の為9も出されたとにお事なのであえて指摘することは控えておきました。

それでもアドバイスできることが有ればと、リフォーム計画について話を聞いていたのですが、話が所々でかみ合いません。

「テレビやソファーはこのプランの場所で決定してるんですよね?」と尋ねると
「まだ決めていません」

「部屋の配置が決まらないと、窓の位置やコンセントの位置等決まりませんよ、
冷蔵庫と食器棚の位置は?」

「まだ決めていません」

「照明器具の種類や位置に関しては?」

「まだ検討していません」

「床の仕上げ材は?」

「なんだっけ?」という感じでした。

「部屋の配置が決まり、電気の位置が決まり、サッシの大きさや種類や色、ガラスの種類、等々すべて決まっていない段階で工事を進めるのは危険ですよ」とアドバイスをしました。

「何か決め手でこの業者と契約したのか?」と尋ねると、「見学会の家が暖かかったのと、他所より増築面積が多かった」というお返事を頂きました。

リフォーム計画の説明の資料が、他社からの報告書と、打合せ時の見積書と計画図面しかなかったので、「契約書を見せて頂けますか?」と尋ねた所、10枚に満たないであろう、ホチキス止めされたA4の髪を出してきました。

「コピーでなく、原本をお願いします」というと「これが工務店から渡された契約書です」とのお答え。

その契約書?の内容は、印紙に双方の押印がされ、契約金額と支払方法等が記載され、別紙に双方の署名押印がなされた紙と、約款が付いていました。

信じられない返答なので、工務店はお友達?お知り合いですか?と尋ねた所
「違います」との返答でした。

建設業法第19条1項 には、建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項(工事内容等)を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないとされています。

建設業法第18条には、建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならないとされています。

つまり契約書を取り交す際には、同じ物を2通作成し、双方の合意に基づき署名・押印(印紙も必要)したうえで双方で保管しろという意味です。

図面も添付されておらず、以前に渡された見積書との金額との異なる工事請負契約書など初めて見ました。

「法律違反ですよ、正式な契約書を請求すべきです」と伝えると

「おかしいと思っていた、早速連絡します。結果も報告します」という返事を頂き、多少安心して帰路につきました。

帰社早々に連絡が入りましたが、工務店からの返答もあきれ返る物でした。

工務店からの返答をまとめると、「税務署が来た時に原本がこちらに無いと困る、お客様が印紙の負担をしなくても済むために、どのお客様にもコピーを渡している」という物でした。

呆れかえる返答なので、工務店はお友達?お知り合いですか?と尋ねた所

「違います」との返答でした。

お客様からは、「正式な見積書が出された段階で、ご相談します」と言われ電話をいましたが、新たに提出された工事請負契約書の内容に、本来必要な(法律上必要な物とお客様が合意できる内容)資料が添付されるかは疑問です。

何故かというと、今回のリフォーム工事の内容について詰めが甘く、未決定の部分が多すぎるからです。

解体工事はほぼ終わり、確認申請も提出されているようですが、提出されて来る工事請負契約書の内容によっては、最悪な結果をお勧めしなければならないかもしれません。

平成最後の時に、まだ、この様な業者が居たことを残念に思います。

皆さん、契約はあくまでも通過点ですよ!